当院の治療方針
当院では、乾燥、皮膚炎、かゆみに対してそれぞれの症状にあった治療を行います。
- 乾燥の症状がみられる場合は、保湿用の塗り薬で皮膚を保護します。保湿用の塗り薬には、いくつか種類がありますので、乾燥の程度や、塗る部位、季節に合わせて、保湿用の塗り薬も変えていきます。
- 塗り薬のステロイド外用薬や免疫抑制外用薬で湿疹、皮膚炎の炎症を十分におさえます。ステロイドの塗り薬は、湿疹のできている部位や、湿疹の程度、年齢によって、薬の種類をかえます。また、同じ名前の薬でも、軟膏、クリーム、ローションで使い分けをします。1人の方に、複数の塗り薬を使っていただくこともありますので、お薬をうけとったら、どの薬をどこに塗るのかを確認してください。
- かゆみがつらい時には、かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)を内服します。かゆみ止めの飲み薬はいくつか種類があり、効き目にはそれぞれ個人差がありますので、効果が弱ければ別の薬に変えることもあります。
- これらの治療で反応が悪い場合、頑固なかゆみが部分的に残った場合には紫外線治療を加えます。広い範囲では、半身照射型のナローバンドUVBを、部分的にみられる強いかゆみに対してはエキシマランプを用いて照射します。紫外線治療についてはこちら
- 小さなお子さんでは、アトピー性皮膚炎にトビヒや水いぼがでてくることがあります。トビヒ、水いぼ、それぞれに対応する治療も合わせて行います。
ケアのポイント
- 肌を清潔にして、しっかり保湿しましょう。入浴後、できるだけ速やかに保湿用の塗り薬や、クリームを塗って下さい。
- 保湿剤をぬっても乾燥する場合は、塗り重ねても構いません。
- お部屋の環境も整え、ダニの繁殖を防ぎましょう。
- 肌を刺激しないように、衣類や寝具を見直しましょう。
- かゆみが強くなるようなライフスタイルは避けましょう。
- 汗をかくとかゆみが強くなる人もいます。こまめに汗を拭き、可能であれば汗を水で流しましょう。
アトピー性皮膚炎について
原因はまだ完全に分かってはいませんが、アトピー性皮膚炎の方の多くは、皮膚が乾燥しやすく、皮膚のバリア機能が弱い体質です。皮膚のバリア機能が弱いために、環境中のダニやホコリ、汗などに対するアレルギーを起こしやすくなっています。また、食品のアレルギーについても、傷ついた皮膚に食べ物が付くことが原因の1つであることが分かってきました。
アトピー性皮膚炎は慢性に経過します。特徴的な湿疹は、年齢によって出てくる部位が変わります。赤ちゃんの頃は耳切れ、子どもの頃は肘の内側や膝の裏側、大人になると顔や首に湿疹が出やすくなります。また、成長するにつれて症状が軽くなる人がいる一方、大人になってから症状が再発する人もいます。
皮膚のバリア機能が弱いので、かぶれも起こしやすく、大人の女性では手荒れや胸に湿疹を繰り返す方もいます。